企業はもはや無視できない、3つの新しい消費者行動パターン

現代の消費者たちは、以前より豊富な情報をもち、懐疑的でもある。テクノロジーにより、「パワー」はブランド側から買い手のほうへ移動しつつある。ソーシャルメディアは、人々がもつブランドへの肯定や反感を急速に増幅する可能性をもつ。人々の購入行動は、信頼する企業に対する投票行動のような面が増えてきている。

新しい「フェア」へ向う人々

「技術による既存制度の破壊」は至るところで見られる。消費者たちは、Blockbuster(DVDのレンタルチェーン)ではなく、より便利なNetflixのオンデマンド動画を選んでいる。
Warby Parkerは、消費者に直接つながり、消費者が従来のメガネ店を避けられるようにした。また、Airbnb(自分の部屋や家を賃貸しできるサイト)は、人々がホテル業界を迂回できるようにした。「知らない誰かにアパートを賃貸しするなんて、5年前に誰が考えられただろう」と、
ブランドコンサルタント会社のWolff OlinsのヘイゼルマンCEOは述べる。

こうした「破壊」は、新興企業に限られるものではなく、大企業にも可能だとヘイゼルマンCEOは考えている。ただし、「フェアな交換」にフォーカスし、それを消費者に対して、明確で誠意あるかたちで提供することが必要だという。


消費だけではなく、創造もする人々

報告書が着目している重要な行動様式のふたつめは、人々は現在、単に消費するのではなく、創造もしているということだ。

オンラインで積極的に投稿している人は、7年前はわずか10%だったのに対し、現在では77%になっている。投稿されたコンテンツの多くはツイートや写真など断片的な形であるのは確かだが、コンテンツの循環におけるこの変化は根本的であり、広大な範囲に及んでいる。

さらに、消費者自らが商品やサーヴィスを販売するための市場を提供する、Airbnb、Etsy(手作り品)、Lyft(自動車に同乗する者を求めるライド・シェアリング)などの会社が伸びている。Pinterestなどの、自分を表現するためのより大きな舞台や洗練されたツールを提供しているサイトでは、ユーザーの参加が急速に高まっている。


時間を「取られない」ようにする人々

注意関心が絶えず包囲されているこの世界において、消費者は時間を「取られない」よう、ますます頑固になってきている。報告書では企業に対して、「要求的にならないこと。そうではなく、自らが完璧にオンデマンドになる方法を見つけるべきだ」と指摘している。

まずは、消費者が探す可能性がある、あらゆるプラットフォーム上で、自らを提供することが必要になる。この点は、たくさんの大手銀行が、モバイルアプリで見事に行っている。例えば、写真ベースで小切手を入金できる機能によって、顧客はATMに行く時間を節約できる。もちろん、銀行はウェブで提供するものについても真剣に考える必要が出てくる。Simpleなどの新興企業が、従来の銀行サーヴィスでは満足できない顧客を待ち構えているからだ。

しかし、消費者が自分たちのやり方で、ブランドとの双方向行動を始めた現状において、真の課題となるのは、複数のチャンネルとプラットフォームを横断した、シームレスで使いやすいサーヴィス提供を実現することだ。「広告戦略や、店内での戦略を考案することは難しくない。本当に難しいのは、それらを統合・整理したかたちで消費者の周囲に提供することだ。ほとんどの企業でこれは行われていない」とヘイゼルマンCEOは述べる。

完成品をどのように宣伝するかだけ考えているようでは足りない。ブランドを静的なものだと考えていたら、時代に乗り遅れる。現代の企業にとっての課題は、IKEAのようなシンプルで便利な製品であれ、TOMS Shoes(売り上げの一部が途上国に寄付されるシューズストア)のような利他主義的なミッションであれ、Faberのような「市場への参加」であれ、なんらかの意味での「フェアな交換」を提供することなのだ。




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